ヒブ感染症の臨床症状・診断

臨床症状

小児における侵襲性Hib感染症は、乳幼児に発症すること、髄膜炎の頻度が高いことが特徴です1。また、Hibは化膿性関節炎、蜂窩織炎、急性喉頭蓋炎の主要な起因菌であることも重要な点です1

髄膜炎

感冒様症状に続き、発熱、嘔吐、易刺激性からけいれん、意識障害へと進行します1。一部は突然のショック症状や意識障害で発症し、短時間で死亡するケースもあります1。Hib髄膜炎は抗菌薬による治療を行っても予後は不良で、5%が死亡、23%が難聴、硬膜下水腫、てんかんなどの後遺症を残しています2

菌血症

多くは発熱あるいは低体温、非特異的症状(不活発、傾眠、不機嫌、哺乳不良、発汗、嘔吐、易刺激性など)などです3。初期には、潜在性菌血症として発症し、他の侵襲性感染症の前病態とされています5。Hib菌血症は、肺炎球菌による菌血症に比較して高率に髄膜炎などの合併症や続発がみられます5

化膿性関節炎1

インフルエンザ菌によるものは乳幼児に多く、局所所見の出現の前に上気道炎や中耳炎が先行するのが特徴です。局所症状としては、罹患関節の腫脹、発赤、疼痛、可動域制限、跛行などで、おむつ替えのときに泣く、四肢を動かさないなどの症状で気づかれることもあります。

蜂窩織炎1

頬部や眼窩部に好発します。上気道炎症状が先行し、急激な経過で局所の炎症症状が発現します。進行すると軟部組織の紫がかった発赤、腫脹を呈するようになります。中耳炎の合併が多く、中耳の感染から頬部リンパ節への伝播も推定されています。眼窩蜂窩織炎は副鼻腔炎を伴うことがあります。

急性喉頭蓋炎

高熱、咽頭痛、嚥下困難、流涎がみられます5。急激に進行する呼吸困難、頭部を前方に突き出す姿勢なども特徴的な臨床症状です1。気道閉塞による死亡も多いとされています5

診断

細菌性髄膜炎、特にHib髄膜炎を発熱早期に診断することは困難です。髄膜炎では、肺炎球菌等の他の細菌による化膿性髄膜炎との鑑別診断が必要となります3

検査

臨床症状から髄膜炎が疑われる場合は、頭部CTにて他疾患を否定した後、髄液検査を行います。髄液検査でグラム染色、細菌培養などから診断します。また、髄液からHibの莢膜多糖体抗原を特異抗体感作ラテックス粒子とのラテックス凝集反応により検出し、診断することも可能です4
髄膜炎以外の全身性疾患の場合には、血液培養からのHaemophilus influenzaeの分離が確定診断となります3

  • 【参考文献/出典】
  • 1.IASR, 34(7):187, 2013.
    http://www.nih.go.jp/niid/ja/iasr-sp/2253-related-articles/related-articles-401/3695-dj4011.html
  • 2.庵原俊昭, モダンメディア, 54(11): 331-335, 2008.
  • 3.厚生労働省, ヘモフィルスインフルエンザ菌b型ワクチンに関するファクトシート
    http://www.mhlw.go.jp/stf2/shingi2/2r9852000000bx23-att/2r9852000000bxfi.pdf
  • 4.石和田稔彦, 小児内科 40 増刊号: 1008-1012, 2008.
  • 5.厚生労働省, ヘモフィルスインフルエンザ菌b型(Hib)ワクチンQ&A <医療従事者用>
    http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou/pdf/110228-2.pdf
侵襲性ヒブ感染症について