ヒブ感染症のサーベイランス報告

2008年からわが国でも接種可能となったヒブワクチンは、2010年11月より公費助成の対象となり、接種率が大幅に上昇しました(2013年4月より定期接種化)。
国内10道県における調査の結果、侵襲性ヒブ感染症(ヒブ髄膜炎・ヒブ菌血症など)の罹患率は、公費助成開始前(2008~2010年)と比較して2013年には98%減少し、2014年には患者数ゼロとなり、2015年及び2016年も0(ゼロ)でした(図1)1-3。1980年代からヒブワクチンが定期接種化された欧米の場合、ワクチン導入前のヒブ髄膜炎の頻度は10万人あたり34~88人とわが国の倍でしたが、ワクチン導入後はヒブ髄膜炎発症者数が95%以上減少しました4。90%以上の罹患率減少に5~10年かかる国がほとんどであったのに対し4、わが国は公費助成後わずか3年でこの減少率を達成することができました。

国内10道県における小児期侵襲性細菌感染症の罹患率*1変化(5歳未満人口10万人あたり)

  • *1:総務省統計局発表の各年10月1日時点の10道県計5歳未満人口より算出(ただし、2014年は2015年3月14日時点でデータ未公表のため2013年のものを使用)
  • *2:子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進事業
  • *3:2008~2010年は3年間の平均罹患率を示す
  • *4:5歳未満人口10万人当たり
  • *5:GBS=B群連鎖球菌

調査方法

10道県(北海道、福島県、新潟県、千葉県、三重県、岡山県、高知県、福岡県、鹿児島県、沖縄県)における小児科病床を有する施設に対して、5歳未満のインフルエンザ菌、肺炎球菌、B群連鎖球菌による小児侵襲性細菌感染症の患者発生状況調査(人口ベース)を行い、血清型を判定した。

ヒブワクチンの導入により、保菌状況や臨床分離株にも変化がありました。日本の9県で検討した侵襲性感染症由来のインフルエンザ菌の莢膜型解析結果によると、ヒブワクチン公費助成導入以降、ヒブ分離株数は大幅に減少しており、最近では2013年に1件、2014年1月~6月には0件でした。無莢膜型の分離株数やb型以外の莢膜型も減少していました(図2)5
ヒブワクチンの接種率が高い国では乳幼児の鼻腔内ヒブコロニー保有率が消失していることから6-8、高い集団免疫によって今後ヒブが消滅する可能性も示唆されています。

  • 【参考文献/出典】
  • 1.庵原俊昭,厚生労働科学研究費補助金 「Hib、肺炎球菌、HPV及びロタウイルスワクチンの各ワクチンの有効性、安全性並びに
    その投与方法に関する基礎的・臨床的研究」 平成26年度総括・分担研究報告書
  • 2.菅秀,日本医療研究開発機構研究費 「ワクチンの実地使用下における有効性・安全性及びその投与方法に関する基礎的・臨床的
    研究」 平成28年度委託研究開発成果報告書
  • 3.西順一郎,小児科診療 80(2):165-169,2017.
  • 4.庵原俊昭, モダンメディア 54(11) : 331-335, 2008.
  • 5.IASR, 35(10):231-232, 2014.
    http://www.nih.go.jp/niid/ja/iasr-sp/2300-related-articles/related-articles-416/5023-dj4161.html
  • 6.Peltola H, Clin Microbiol Rev 13 : 302-317, 2000.
  • 7.CDC, MMWR 45: 901-906, 1996.
  • 8.Peltola H, et al., J Infect Dis 179 : 223-229, 1999.
侵襲性ヒブ感染症について