臨床症状と経過

B型肝炎の感染様式は、一過性感染と持続性感染に大別されます。

一過性感染

成人での初感染の場合、感染成立後一定期間の後にHBVが生体から排除されて治癒することが多く、その大多数に自覚症状はみられません(不顕性感染)。一方、一過性感染者の20~30%は黄疸や全身倦怠感、食欲不振などを主症状とする急性肝炎を発症します(顕性感染)。一般に急性肝炎の予後は良好ですが、まれに劇症肝炎を発症することがあります。

劇症肝炎

肝炎のうち、症状出現後8週以内に脳症をきたし、血液中の凝固因子の著しい低下(プロトロンビン時間≦40%)を示す病態。肝細胞の増殖が障害され、適切な治療を行わない場合、高頻度に死に至る。

持続感染

免疫機能が十分に成熟していない乳幼児や免疫機能不全の成人がHBVに感染した場合、HBVが肝臓に住み着いた持続感染状態となることがあります。持続感染の多くは出生時や乳幼児期の感染によって成立し、5歳超では持続感染化の割合は1%以下であるのに対し、1~5歳では25~50%、1歳以下では90%になるとの報告があります*1。
持続感染者の多くは無症候性キャリアとなりますが、10~15%は慢性肝炎に進行します。慢性肝炎も自覚症状はほとんどなく、肝機能検査で異常値が発見される程度です。慢性肝炎は肝機能の悪化、再燃を繰り返すことにより、肝硬変、肝不全、肝がんへと進展する可能性があります。

HBV感染後の経過

HBV感染後の経過
国立感染症研究所. B型肝炎ワクチンに関するファクトシート(平成22年7月7日版)より改変.
【出典元】
  1. *1World Health Organization, Department of Communicable Disease Surveillance and Response. Hepatitis B(WHO/CDS/CSR/LYO/2002.2).
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