治療

根治的治療法は、手術療法と放射線療法が主に行われ、進行癌に対しては化学療法が併用されます。

手術療法

子宮頸部円錐切除術、単純子宮全摘出術、準広汎子宮全摘出術(単純子宮全摘出術と広汎子宮全摘出術との中間的な術式)、広汎子宮全摘出術、超広汎子宮摘出術(骨盤壁付着部を含めて基靱帯をその根部から摘出する術式)、骨盤除臓術(女性内性器とともに膀胱、直腸など骨盤内臓器を摘出する術式)があります。

図:子宮頸部円錐切除の適応と切除部位
図:子宮頸部円錐切除の適応と切除部位

放射線療法

外部から放射線を照射する外部照射(体外照射)と、子宮のなかに器具を挿入してリモートコントロールで直接頸部に放射線を照射する子宮腔内照射が行われます。原則として外部照射と子宮腔内照射を併用します。

化学療法

子宮頸癌の化学療法には、手術療法や放射線療法に先行して、腫瘍の縮小を目的に行う術前化学療法(NAC:neoadjuvant chemotherapy)と、放射線療法と同時に行う同時化学放射線療法(CCRT:concurrent chemoradiotherapy)があります。CCRTは、抗癌剤による放射線の増感剤としての治療効果と、放射線照射部位以外の転移病巣に対する治療効果を目的に施行されます。NACの有用性については目下のところ確立されていません。

0期では100%治癒が可能です。

初期の癌ほど治療成績がよく、5年生存率は0期でほぼ100%、I期でも約70~87%程度です。したがって、子宮頸癌は初期に治療すればほぼ治癒する癌といえます。

表:子宮頸がんの治療成績(生存率)
表:子宮頸がんの治療成績(生存率)がん研究振興財団、がんの統計編集委員会編:がんの統計05.2005(一部改変)

子宮頸癌の病期別治療法(子宮頸癌治療ガイドライン2011年版より)

0期の扁平上皮癌には子宮頸部円錐切除術が、腺癌には単純子宮全摘出術が推奨されます。Ia期の治療は、Ia1期かIa2期か、脈管侵襲の有無、子宮頸部円錐切除術標本での切除断端の病変の有無、さらには妊孕性温存希望の有無などを考慮して、個別に考える必要があります。

0期(上皮内癌)

注)0期(上皮内癌)は、2009年のFIGO臨床進行期分類改訂において削除されましたが、本ガイドラインでは、意義があるとして、従来通り0期に対する治療指針が示されています。
扁平上皮癌では、子宮頸部円錐切除術を行った結果、浸潤がなく温存子宮に病巣の遺残がない場合は子宮頸部円錐切除術で治療を終了します。しかし、妊孕性温存を望まない場合には単純子宮全摘出術も考慮されます。
腺癌では単純子宮全摘出術が推奨されますが、妊孕性温存希望例には、厳密な管理の下であれば子宮頸部円錐切除術による子宮の温存が考慮されます。

Ia期

扁平上皮癌のIa1期では、脈管侵襲のない場合には単純子宮全摘出術を行います。脈管侵襲が認められる場合には、準広汎子宮摘出術と骨盤リンパ節郭清を行うこともあります。妊孕性温存を強く望む場合には子宮頸部円錐切除術と頸管内掻爬を行い、切除断端が陰性で脈管侵襲がなければ、子宮温存が可能とされています。
Ia2期で脈管侵襲のある場合にはリンパ節転移の頻度が高くなるため、リンパ節郭清を含む準広汎子宮全摘出術以上の手術が推奨されます。
脈管侵襲のない場合は、リンパ節郭清を省略することを考慮可能です。Ia期腺癌(微小浸潤腺癌)では骨盤リンパ節郭清を含む準広汎子宮全摘出術あるいは広汎子宮全摘出術が推奨されます。浸潤が浅い場合は、リンパ節郭清を伴わない単純子宮全摘出術も考慮されます。子宮頸部円錐切除術は、妊孕性温存を強く希望する場合に条件付で施行されます。

Ib期やII期には広汎子宮全摘出術が推奨され、III期やIVa期には同時化学放射線療法が推奨されます。IVb期では、孤立性の転移を認めるものには全身化学療法や転移病巣の手術療法が行われ、全身転移を認める根治が全く望めないものには症状緩和によるQOL向上が治療の第一選択となります。

Ib期とII期

扁平上皮癌では、Ib1・IIa1期には、広汎子宮全摘出術あるいは根治的放射線治療が推奨されます。病巣が4cmを超えるIb2・IIb2期、またIIb期では、広汎子宮全摘出術(+補助療法)あるいは同時化学放射線療法(CCRT:concurrent chemoradiotherapy)が推奨されます。Ib期やII期に対して、予後改善を目的に術前化学療法(NAC:neoadjuvant chemotherapy)が施行されることもありますが、それで予後が改善するという明確なエビデンスはありません。
腺癌では、扁平上皮癌に比べて放射線感受性が低いと考えられており、原則として手術が推奨されます。

III期とIVa期

手術療法が推奨されません。放射線治療を行う場合は、CCRTが推奨されます。CCRTで使用される化学療法では、シスプラチンを含むレジメンが推奨されています。III・IVa期腺癌に対しては、外部照射と腔内照射を組み合わせたCCRTが推奨されます。

IVb期

全身状態が良好かつ臓器機能が保たれている患者に対しては、全身化学療法を考慮します。遠隔転移巣が切除可能な肺転移もしくはリンパ節転移だけである場合には、手術、放射線(化学療法)、もしくはそれらの併用療法も選択されます。腫瘍関連合併症に伴う症状が強ければ、その原因病巣に対する緩和的放射線療法が考慮されます。
臓器機能が保たれているIVb期腺癌患者で化学療法を行う場合、プラチナ製剤単剤かプラチナ製剤を含む併用療法が考慮されます。

再発癌では、放射線療法が施行されていない場合の骨盤内再発や孤立性の照射野外の局在性再発では放射線療法が主な選択肢となり、放射線療法が施行されている場合の照射野内の再発や多臓器への転移には化学療法が選択肢となります。孤立性の遠隔転移や局所再発などには手術療法も考慮されます。治療効果や全身状態、癌の広がりなどを総合的に考え、緩和医療を考慮する場合もあります。

再発癌に対する治療戦略は、再発部位(局所再発か遠隔再発か)、前治療としての放射線療法の有無、年齢や全身状態などにより大きく異なるので、個別化が重要となります。

前治療として放射線療法が施行されていない場合

骨盤内に限局した再発に対しては放射線療法が推奨され、同時化学放射線療法(CCRT)も選択肢になり得ます。

難治性とされる照射野内再発

症状緩和を目的とした化学療法や緩和療法を原則とします。腟断端の中央再発に対しては、限局的な放射線療法や、術前評価を十分に行ったうえでの、骨盤除臓術も考慮されます。

手術や放射線療法による病巣制御が困難な場合

手術や放射線療法による病巣制御が困難であり、全身状態が良好で臓器機能が保たれている場合には、全身化学療法が推奨されます。全身化学療法を行う場合、シスプラチンを中心とした単剤もしくは2剤併用療法が推奨されます。

【参考資料】
  • 医療情報科学研究所 編:病気がみえる vol.9 婦人科(メディックメディア,2007)
  • 日本婦人科腫瘍学会編:子宮頸癌治療ガイドライン(金原出版株式会社, 2007)
子宮頸癌の疫学と病因