疫学

日本国内では年間約10,000人*1が子宮頸癌と診断されています。子宮頸癌による死亡者は年間約3,000人*2で、1日に約7.5人*3が死亡している計算です。

世界各国における子宮頸癌の罹患率は、発展途上国では高く、先進諸国では低い傾向がみられます。日本の年齢調整罹患率は人口10万人あたり10.9と、先進国31ヵ国のなかでは7番目に高く、子宮頸癌の発症率が高いグループに属しているといえます*4

図:各地域における子宮頸癌の発症率と死亡率
図:各地域における子宮頸癌の発症率と死亡率Estimates from GLOBOCAN 2012

子宮癌は、女性特有の癌のなかでは乳癌の次に罹患率が高い癌です。

子宮癌は、女性特有の癌のなかでは乳癌の次に罹患率が高い癌です。
以前は、日本人女性の悪性新生物による死因として、子宮頸癌は胃癌に次ぐ第2位の位置を占めていましたが、がん検診の普及や診断技術、治療の進歩により、現在では死亡率は減少しています。
罹患率も減少傾向でしたが、最近では横ばい傾向にあります。

図:日本人女性の部位別がん罹患率と死亡率(対10万人あたりの人数)
図:日本人女性の部位別がん罹患率と死亡率(対10万人あたりの人数)国立がんセンターがん対策情報センター

子宮頸癌の発症率は年々増加しています。

子宮頸癌の発症率は年々増加しています。なかでも20~30歳代の女性における子宮頸癌の発症率の増加は大きく、1990年代に入ってから各種癌のなかで最も高くなっています。

図:日本人女性(20~29歳)の各種がん罹患率の推移(10万人あたり)
図:日本人女性(20~29歳)の各種がん罹患率の推移(10万人あたり)国立がんセンターがん対策情報センター、地域がん登録全国推計値
(地域がん登録による罹患全国推計の方法)
http://ganjoho.jp/reg_stat/index.html
図:日本人女性(30~39歳)の各種がん罹患率の推移(10万人あたり)
図:日本人女性(30~39歳)の各種がん罹患率の推移(10万人あたり)国立がんセンターがん対策情報センター、地域がん登録全国推計値
(地域がん登録による罹患全国推計の方法)
http://ganjoho.jp/reg_stat/index.html

子宮頸癌罹患の若年化がみられ、20~30歳代ではI期の初期癌が増加しています。

子宮頸癌罹患の若年化と初期癌の増加傾向もみられます。日本産科婦人科学会・婦人科腫瘍委員会に登録された子宮頸部浸潤癌の患者さんの年齢分布をみると、1982年では50歳代に分布のピークがある*5のに対して、2005年では40歳代を中心に30~50歳代にかけてピークがみられ、20歳代、30歳代ではI期の患者さんが大幅に増加しています*6
以前は「出産をすませた女性の疾患」とされていた子宮頸癌が、出産年齢の上昇ともあいまって、現在では「これから妊娠や出産を迎える女性の疾患」へと変化しており、子宮頸癌の若年化は世界的にも問題になっています。また、初期癌の増加傾向は、子宮頸がん検診の普及によるところが大きいとされています。

最近では、子宮頸癌のなかでも予後が悪い腺癌が増加しています。

子宮頸癌には扁平上皮癌と腺癌の2種類があります。子宮頸癌は発癌性ヒトパピローマウイルス(HPV:human papillomavirus)感染により発症しますが、発癌性HPVの遺伝子型によって子宮頸癌を発症する危険性が異なります。最も危険性が高いのは16型と18型とされていますが、腺癌ではHPV18型の検出頻度が高いことが特徴です。
子宮頸癌を代表する組織型は扁平上皮癌ですが、最近では腺癌の増加傾向が認められ、1960年代には4%前後に過ぎなかった腺癌の占める割合が、2002年には21.5%にまで増加しています*7
腺癌は、検診では早期発見されにくいために進行癌として発見されることが多く、扁平上皮癌より予後が悪いため、早期発見、治療への対策が問題となっています。

【出典元】
  1. *12008年 地域がん登録全国推計値
  2. *22011年 人口動態統計(厚生労働省大臣官房統計情報部)
  3. *32011年 人口動態統計(厚生労働省大臣官房統計情報部)より算出
  4. *4GLOBOCAN 2012(http://globocan.iarc.fr/Pages/summary_table_site_sel.aspx
  5. *5日本産科婦人科学会・婦人科腫瘍委員会報告:1982年度子宮頸癌患者年報
  6. *6日本産科婦人科学会・婦人科腫瘍委員会報告:2005年度子宮頸癌患者年報
  7. *7日本産科婦人科学会・婦人科腫瘍委員会報告:2002年度子宮頸癌患者年報
子宮頸癌の疫学と病因