診断

子宮頸癌を診断するためには、細胞診、コルポスコピー診(腟拡大鏡診)、組織診の3つの検査を行います。

子宮頸癌の診断のために行う検査は、細胞診(PAPテスト)、コルポスコピー診(腟拡大鏡診)、組織診の3つです。子宮がん検診によって細胞診が行われ、子宮頸部初期病変の疑い例では、これら3つの検査をセットで行い、組織診により確定診断します。また米国では、30歳以上の女性の子宮頸がん検診は、細胞診とHPV検査を併用することが推奨されています。

図:子宮頸がん診断のための検査
図:子宮頸がん診断のための検査

細胞診(PAPテスト)

子宮腟部および頸管内をスクレーパーまたはヘラの採取器具を用いて擦過し、細胞を採取してパパニコロー染色により異型細胞の有無を観察します。細胞診の評価は、2009年に導入されたベセスダシステムに従って行われます。
これにより(1)推定病変をより記述的に記載し、(2)標本の適否を評価することの2点に重点がおかれ、より正確な評価が可能になりました。

ベセスダシステム/細胞診(PAPテスト表)

コルポスコピー診(腟拡大鏡診)

細胞診でASC-US以上の場合は、コルポスコープを用いて病変の程度、局在や広がりを確認します。病変の単純な観察をする単純コルポスコピー診と、各種所見を顕著にさせる目的で行われる3%の酢酸溶液を子宮腟部の表面に塗布する加工コルポスコピー診があります。なお、細胞診で異常が認められない場合でも、子宮腟部に広範囲のびらんや易出血性の所見があるときには、コルポスコピー診による確認が必要です。米国ではASC-USにとどまる場合はHPV検査が行われることがあります。

組織診

コルポスコープを用いて病変を確認した後、その部位から細胞を採取します。採取方法には、狙い生検と頸管内掻爬の2つの方法があります。一般には、コルポスコープ観察下に異常所見のある部位から組織を採取する狙い生検を行い、細胞診が陽性であるにもかかわらず、コルポスコープで異常所見がまったく得られない場合などには、ゾンデキューレットを用いて頸管内を掻爬します。組織標本はCIN*1分類に従う場合には、3段階(CIN1、CIN2、CIN3)で評価します。CINとは、上皮内に限局する子宮頸部上皮内腫瘍のことで、CIN1、CIN2はそれぞれ軽度、中等度異形成、CIN3は高度異形成と上皮内癌が含まれます。子宮頸癌の大半を占める扁平上皮癌は、異形成という前癌病変を経て発症しますが、CIN2以下の場合は自然治癒する可能性があるため、経過観察が一般的です。CIN3(高度異形成あるいは上皮内癌)では自然治癒の可能性は低く、治療が必要になります。

CIN(表)

HPV検査

CINを的確に診断するためには発癌性HPV感染の有無をチェックすることが重要で、HPV-DNAをポリメラーゼ連鎖反応(PCR:polymerase chain reaction)法やハイブリッドキャプチャー法などにより検出します。HPV検査と細胞診との併用により病変検出率がほぼ100%に高まることが報告されています*2。ただし、HPV検査は発癌性HPVを検出する検査であり、直接子宮頸癌を検出する検査ではありません。たとえHPV検査が陽性であっても、その大部分の人は健康者です。また、発癌性HPVは性交渉によって感染することから、「HPV検査陽性=性病に罹患してしまった」と間違って認識されてしまうこともあり、陽性者の精神的苦痛が大きいため、この検査を施行する場合には、陽性者のための精神的なフォローの検討も必要です。

子宮頸癌の初発症状として最も多いのが性交時の不正性器出血の訴えです。

問診

子宮頸癌の初期症状としては不正性器出血が代表的なもので、とくに性交時の出血として気づく場合が多く、次に多いのが帯下の増量の訴えです。帯下は、癌病巣の増大に伴って悪臭を伴うようになります。また、癌が進行して周囲臓器に浸潤したり、遠隔臓器に転移すると、それに伴って様々な症状があらわれます。

腟鏡診

腟鏡には数種類ありますが、クスコ腟鏡が一般的に用いられます。腟鏡を腟入口部から挿入し、腟壁の状態、分泌物や出血の有無などを観察します。

内診

腟内に挿入した内診指と腹壁上の外診指で、子宮、両側附属器、子宮傍結合織などの形、大きさ、性状などを診察します。

直腸診

肛門から手袋を装着した人差し指にオリーブ油などを十分につけて挿入し、直腸壁や子宮傍結合織など小骨盤内の状態を診察します。

【参考資料】
  • 医療情報科学研究所 編:病気がみえる vol.9 婦人科(メディックメディア,2007)
【出典元】
  1. *1CIN:cervical intraepithelial neoplasia、子宮頸部上皮内腫瘍
  2. *2Lorincz AT et al.:Arch Pathol Lab Med 127(8):959-968,2003
子宮頸癌の疫学と病因