検診とその後

子宮頸がん検診は、癌のスクリーニングを目的とする一次検診、病変検出を目的とする精密検査、癌の広がりや治療方針を決定するための確定診断があります。いずれにおいても子宮頸部擦過細胞診が行われます。

子宮がん検診は、三段階で実施されます(図)。

一次検診

一次検診では、問診、子宮頸部の視診を行った後、細胞診と内診を行い、必要に応じてコルポスコピー診(腟拡大鏡診)を行います。問診では妊娠・出産歴、月経の状況、自覚症状の有無、検診受診状況などについて聴取し、視診では腟鏡で子宮頸部を観察します。内診では子宮の形、大きさ、位置、表面の状態、炎症の有無などを確認します。

精密検査・確定診断

細胞診の判定がASC-USの場合にはHPV検査を実施し、陽性の場合は直ちにコルポスコピー診を行う。コルポスコピーの所見に基づいて生検を実施し、CINの有無を確認する。

精密検査の結果、CIN*13以上の病変が確認されれば治療の対象と考えられますが、CIN1~2における具体的な管理指針は提示されておらず、経過観察の方法は施設によって一致していないのが、わが国の現状です。

図:子宮頸がん検診の体制
図:子宮頸がん検診の体制青木大輔:EBMジャーナル8 (2):204-209, 2007より改変

子宮頸部細胞診はスクリーニングの手法として頸部病変の発見に有力な手段です。新たな検診手法として液状検体法やHPV検査も開発されていますが、地域住民検診などで用いられる検診手法として取り入れるためにはさらなる検討が必要です。

細胞診による子宮頸がん検診の有効性は国内外で証明されていますが、最近では、子宮頸がん検診の新たな手法として液状検体法やHPV検査が検討されています。ただし、たとえハイリスク型のHPVでもその感染のすべてが子宮頸癌を発症させるわけではなく、HPV検査陽性イコール子宮頸癌ではありません。またごく少数例ですが、HPV感染とは無関係に発生する子宮頸癌の存在も知られており、細胞診を行わないと見落とされる可能性があることに注意する必要があります。

液状検体法

細胞診には、採取された細胞をスライドガラスに直接塗布する従来法とともに、近年開発された液状検体法があります(図)。液状検体法は、液状検体から細胞を集めて標本を作製する検体処理方法で、必要に応じてHPV検査に用いることも可能です。しかし現時点において、この液状検体法を利用した液状処理細胞診(LBC:liquid-based cytology)を扱う検査施設は限られています。

図:子宮頸部細胞診(従来法および液状検体法)
図:子宮頸部細胞診(従来法および液状検体法)平成16年国民生活基礎調査から推計(健康票第2巻第34表/健康票第4巻第16表)

HPV検査

感染部位におけるHPVのDNAを検出する診断法で、ヒトの主観的な判断を要しないという精度管理上の利点があり、前癌病変の検出法として優れています。
検査機関ではハイブリッドキャプチャー法とPCR法が利用可能で、検出感度は両者同等です。ハイブリッドキャプチャー法の方が簡便ですが、HPVの型は同定できないため、HPV検査を実施する目的に応じて検査方法が選択されます。

・ハイブリッドキャプチャー法
DNAの増幅を伴わない高感度遺伝子検出法で、検体中に含まれるHPV DNAをRNAプローブとハイブリダイズさせたDNA/RNAハイブリッドをマイクロプレートに固相化した抗DNA/RNA抗体により補捉し、化学発光により検出する方法です。13種類の高リスク型HPVを検出するキット(HCII)が体外診断用医薬品として認可され、最も用いられていますが、HPVの遺伝子型の同定はできません(保険適応外)。
・PCR法
HPVのDNAをPCRで増幅したのち、増幅産物を分子生物学的手法によって解析する方法で、HPVの遺伝子型の同定も可能です。HPVの遺伝子型の同定にはさまざまな方法がありますが、PCR-RFLP法(制限酵素で切断し、その切断パターンから遺伝子型を判定する方法)などが主に用いられています(保険適応外)。
※検出感度
HPV検査の子宮頸部上皮内腫瘍(CIN:cervical intraepithelial neoplasia)2、3および子宮頸癌に対する感度はおおよそ70~100%、特異度は70~95%*2です。一方、細胞診の感度はおおよそ50~85%*2、特異度は90~99%*2で、一般に感度はHPV検査の方が優れているのですが特異度が細胞診より劣る傾向があります。
【出典元】
  1. *1子宮頸部上皮内腫瘍(CIN:cervical intraepithelial neoplasia)
  2. *2Cervical Cancer Screening: IARC Handbooks of Cancer Prevention. WHO, 97-98, 2005
子宮頸癌の早期発見のために