破傷風

破傷風とは

破傷風は、破傷風菌(Clostridium tetani)が産生する神経毒素(破傷風毒素)により強直性痙攣をひき起こす感染症です。

疫学

破傷風は1950年には報告患者数1,915人、死亡者数1,558人、致命率が81.4%と高い疾患でした。しかし、1952年には破傷風トキソイドワクチンが導入され、1968年には三種混合ワクチン(ジフテリア・百日せき・破傷風混合ワクチン/ DTP)の定期予防接種が開始され、患者数は減少しました。1991年以降の報告患者数は年間30~50人にとどまっていますが、2000年以降毎年100人前後が発症しており、依然として致命率が高い(20~50%)感染症です。
かつては新生児や小児も罹患していましたが、予防接種の普及により最近は抗体をもたない成人や高齢者の患者が大多数を占めています。感染症発生動向調査によると、小児期に予防接種歴のない40歳以上が患者の90%以上を占めます。

破傷風患者の年齢別割合(1999~2003年と2004~2008年の比較)

感染経路・臨床症状・治療

破傷風菌は土壌中に広く常在し、創傷部位から体内に侵入します。侵入した破傷風菌は侵入部位で増殖して破傷風毒素を産生します。現在でも転倒などの事故や土いじりによる受傷部位からの感染が多くみられています。
臨床症状は、口が開きにくく、顎が疲れるといった症状に始まり、歩行や排尿・排便の障害などをきたします。最後には全身の筋肉の硬直、呼吸困難をきたし、死に至る例もあります。
治療として、抗破傷風ヒト免疫グロブリン(TIG)の投与が行われています。さらに感染部位の洗浄や感染・壊死組織を除去・清浄化後、抗菌薬の投与も採用されています。対症療法として、抗痙攣剤の投与、呼吸や血圧の管理も重要といわれています。

疾患について